板前FP雑記帳

働く人、生活者のためのファイナンシャル・ファイナンシャル

iDeCo 個人型確定拠出年金

私的年金

 

「日本の年金制度は2階建て」といわれます。20歳以上60歳未満の全ての方が加入する国民年金が1階部分、その上に2階部分として民間企業の会社員の方や公務員・教職員の方が加入する厚生年金があります。

 

そうした公的年金に対して、私的年金というものがあります。任意で加入し、公的年金の上乗せして給付を受けるための制度です。将来に備えて自ら年金の「2階部分・3階部分」を作ることができます。

企業年金であったり、第一号被保険者のための国民年金基金、民間の保険会社の個人年金保険などがそれにあたります。

 

その中でもiDeCo個人型確定拠出年金は2017年に加入資格の対象者が拡大され、老後の資産形成のための私的年金として注目度が増しています。

この記事ではiDeCoの概要・特徴とメリット・デメリット、また同じく資産運用の制度としてよく比較されるNISAとの違いなどについて解説していきたいと思います。

 

iDeCoとは

iDeCo個人型確定拠出年金では、加入を希望する対象者が金融機関に自ら申込み・手続きを行い、運用商品を決めて掛け金を拠出します。

 

iDeCoでは複数の金融機関に複数の口座を持つことはできず、選択できるのは1金融機関かつ1口座のみです。ただし、途中で金融機関を変更することは可能です。

 

 

取り扱う金融商品は金融機関ごとで品揃えが変わりますが、各金融機関はリスクやリターン特性の異なる3以上35以下の金融商品を提示することになっています。

 

毎月の掛け金は5,000円から、1,000円単位で設定できます。運用対象となる商品は投資信託、定期預金などの預貯金、個人年金保険など保険商品です。

 

その掛け金と運用益の合計を将来の給付として受け取ります。よって運用実績によっては資産が目減りする可能性もあります。

 

加入対象者と掛金の上限

 

iDeCo加入できるのは、国民年金に加入している20歳以上60歳未満の方と厚生年金に加入している65歳以下の方ですが、その職業よって掛金の上限が変わります。

 

  • 自営業者の方・・・国民年金基金と国民年金の付加保険料とあわせて月額68,000円まで。
  • 専業主婦の方・・・月額23,000円まで。
  • 会社員の方・・・月額12,000円23,000円まで。(企業年金の加入状況によって変わります)
  • 公務員の方・・・月額12,000円まで。

 

↓国民年金の被保険者の区分についてはこちら

年金について・人は誰でも歳をとる - 板前FP雑記帳

 

 

また、自分が加入資格に該当するかどうか・掛金の上限は公式サイトの「加入診断」で簡単に見ることができます。

iDeCo(イデコ)をはじめるまでの4つのステップ|加入希望者の方へ|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

 

会社員がiDeCoを始める場合

 

基本的にはiDeCoを始めるには、本人確認書類と基礎年金番号を準備して銀行や証券会社などの金融機関に申し込みます。

 

ただ、会社員の場合には勤務先に事業所登録申請書兼第二加入者に係る事業主の証明書という書類を記入してもらう必要があります。

この書類によって65歳未満の国民年金の被保険者であるか、企業年金の有無と加入状況など、iDeCoの加入資格があるということを事業主に証明してもらうというわけです。

 

また事業主の承認があれば、iDeCoの毎月の掛金を給料天引きにより事業主経由で納めることもできます。その場合、年末調整や確定申告が不要になります。勤務先に確認してみましょう。

 

iDeCoの給付

 

iDeCoの給付には、「老齢給付」「障害給付」「死亡一時金」「脱退一時金」があります。

 

老齢給付は原則として60歳から受取ることができます。しかしこれには最初の掛金を拠出してから10年以上経過していることという条件があります。

10年以上経過していない場合には、給付の受取が61歳以降にずれ込んでしまうことになります。

 

  • 8年以上10年未満→61歳から
  • 6年以上8年未満→62歳から
  • 4年以上6年未満→63歳から
  • 2年以上4年未満→64歳から
  • 1ヶ月以上2年未満→65歳から

 

となります。  

 

障害給付・・・疾病によって一定の障害状態になったときに受取ることができます。障害に認定され給付を受取る時の年齢や加入期間は問われません。

 

死亡一時金・・・加入者や加入していた方が亡くなられた場合に、年金資産を全て売却して、遺族が一時金を受取ることができます。

 

脱退一時金・・・以下の全ての条件を満たしている場合には、脱退一時金を受け取ることができます。

  1. 60歳未満
  2. 企業型DCに加入できない
  3. iDeCoに加入できない
  4. 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)ではない
  5. 障害給付の受給者ではない
  6. 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること,又は個人別管理資産額が25万円以下であること
  7. 企業型DC又はiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること

 

こうして見ると脱退一時金を受け取れるのは、かなり限られたケースになりますね。

 

税制優遇措置

 

iDeCoに加入するメリットとして挙げられるのが税制優遇です。

 

  1. 掛金が全額所得控除の対象になり、所得税と住民税が軽減される。
  2. 運用益も非課税。通常、株式や投資信託などで得た運用的には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの場合は非課税となります。
  3. 受け取る給付も税額控除の対象になります。年金として受け取る場合には公的年金控除、一時金として受け取る場合には退職所得控除。

 

となります。

 

iDeCoのデメリット

 

資産形成のためにiDeCoに加入した場合のデメリットには、まず積み立てた掛け金は60歳まで引き出すことができないということで挙げられます。

基本的に老齢給付として受け取ることを目的にしているからです。

 

それからもちろん、運用している金融商品の価格の変動により元本割れのリスクもあります。

 

ただ投資で資産を形成しようとすれば運用実績による元本割れのリスクがあるのは当然のことですし、60歳まで引き出せないというのも、そもそもの目的が「老後のための資産形成」ですので安易に中途解約できないというのはメリットと捉えることもできるかもしれません。

 

個人的にはiDeCoへの加入をためらわせる大きなデメリットは手数料かなと思います。

iDeCoではまず加入時手数料そして口座管理手数料(事務手数料・資産管理手数料・運営管理手数料)、さらに給付を受け取る際にも納付事務手数料がかかります。

 

なのである程度の金額を掛金とする場合はともかく、毎月数千円単位の少額な掛金で積み立てた場合には、掛金に対する手数料の割合が大きくなってしまいます。

 

税制メリットとにらめっこして吟味する必要がありますね。

 

NISAとの比較

 

資産形成のツールとしてよく比較されるiDeCoNISAですが、ここで具体的な特徴の違いを見ていきます。

 

  1. まずiDeCoは掛け金の積立期間は最長65歳まで・給付の受け取りは原則60歳からとなっていますが、NISAでは資金を拠出する期間も積み立てた資産を引き出すタイミングも自分で選ぶことができます。
  2. 掛け金の上限もiDeCoの場合には職業などで上限がありますが、NISAの場合は「つみたて投資枠」「成長投資枠」の範囲内であれば自らの設定した金額で投資・積み立てが可能です。
  3. iDeCoは毎月の掛け金や給付金も税額控除の対象になりますが、NISAの場合非課税となるのは運用益のみ。節税メリットはiDeCoの方が大きいと言えます。

 

それでは筆者の場合

 

ここまで長々とiDeCoについて解説してきましたが、実は自分はiDeCoに加入していません・・・(笑)

 

おいおい、と思われるかもしれませんが自分なりの理由と投資計画があるのです。

 

iDeCoに現在加入していない大きな理由は、「60歳まで引き出すことができない」からです。

それというのも、あの新型コロナウイルスによる社会変動を経験したことが大きいですね。

疫病や災害によって、自分の職業がまた或る日突然、社会にとって「不要不急」とされてしまうかもしれないという不安。

 

なので、まずはNISAで「1年くらいは夫婦と猫たちで暮らしていけるくらいの原資」を貯めて、それからまた私的年金など老後の資産形成についての方法を見直す、という方針でコツコツ積み立ててます。

 

私の場合貯蓄は目的別に行っていますが、「将来・老後のため」の積み立て金が毎月2万円です。

そして毎月の給与の手取りが約34万円ほど。緊急時は節約してその8割で暮らすとしてだいたい1ヶ月で27万円、1年間で320万円ちょい。

 

↓金融庁「つみたてシュミレーター」

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/

 

ちなみに毎月2万円を年利3%で積立・運用できたとしても、11年以上かかります。

 

・・・・・明日からまた仕事頑張ろ。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

 

年金について・人は誰でも歳をとる

将来への不安

 

誰でも歳をとります。生きていれば、老後は必ずやってきます。自分は今40代半ばですが、将来のことを考えるといつも、ぼんやりとした不安がつきまといます。

 

 

なぜ不安になるのか?

その不安の原因の最たるものが、老後の生活資金の原資である公的年金への不信感ではないでしょうか?

 

いたずらに不安を煽るのは良くありませんが、「年金だけでは将来生活していけるのか不安だ」という人が世の中ではほとんどで、既に投資や貯蓄などの資産形成を始めていたり、関心をもってリサーチしている人は実際に多いと思います。

 

例えば国民年金の老齢基礎年金の満額は今年度で約6万8千円です。よほど環境的に恵まれた人でない限り、この年金額で暮らしていくのはなかなかに厳しい。

ましてや年金を満額で受け取れる人がどれだけいるのか、実際に受取る年金額はもっと少ない可能性もあります。

 

「やっぱり年金なんて頼りにならない」

「保険料を払うのも馬鹿馬鹿しい」

そう感じる人も多いかもしれません。

 

ですが、その頼りない年金だって、有ると無いとでは老後の生活が大きく変わります。

感情的になって自暴自棄になりそうなとき、学ぶことや知識を得ることが助けになる。そうであってほしいと思います。

 

日本の年金制度

 

「老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする」(国民年金法第一条より)

 

我が国の年金は国民皆年金といって、原則として20歳以上60歳未満のすべての国民が年金制度に加入することになっています。

そうすることで安定した保険集団を形成し、リタイヤされた方や障害を負った方、亡くなられた方の遺族などの暮らしを社会全体で支えていく、そのための国民皆年金制度であるというのが日本の年金制度の特徴のひとつ。

 

そしてもうひとつの特徴としてあげられるのが、日本の年金制度は2階建てであるということ。

すべての対象者が加入する国民年金が1階部分、その上に民間企業の会社員や公務員などが加入する厚生年金が、2階部分としてあります。

 

国民年金の被保険者は、職業などにより第一号から第三号までに分類されます。

  • 第一号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など20歳以上60歳未満で第二号や第三号に該当しない方は、第一号被保険者となります。
  • 第二号被保険者・・・民間企業の会社員や公務員、あるいは教職員など70歳未満で厚生年金に加入されている方は、第二号被保険者です。
  • 第三号被保険者・・・主婦・主夫など第二号被保険者と生計を共にして扶養されている配偶者の方は、第三号被保険者となり保険料の負担はありません。

 

現在の公的年金だけでは将来の生活が苦しいという第一号被保険者や第三号被保険者の方、もう少し安定した老後を送りたいと考える第二号被保険者の方が、任意で加入し自ら年金の「2階部分・3階部分」を作るものが、昨今よく話題になる私的年金です。

 

また、日本の年金は自らが納めた年金保険料を積み立てて将来受取るというわけではありません。

世代間扶養・賦課方式と言って、現役世代が収めた保険料を財源として、リタイヤした世代に年金を支給します。(こうした点がよく、ポピュリストたちが世代間憎悪を煽るのに利用されます)

 

それでは年金を受取る65歳以上のリタイヤ世代と現役世代のバランスを見てみると・・・

(内閣府「令和5年版高齢社会白書」より)

2022年 現役世代2人→65歳以上1人
2070年 現役世代1.3人→65歳以上1人

となります。

 

これでは誰でも不安になります。私も不安です。

 

その不安を煽られて見知らぬ他人を憎まずにいるためにも、まずは自らの生活基盤をしっかりと作っていくことが必要です。そのためにファイナンシャルプランニングの知識や技術が求められているのだと自分は考えています。

 

私的年金

 

将来に備えて自ら年金の2階部分・3階部分を作るための私的年金には、いくつか種類があります。

 

  • 企業型確定給付年金・・・ 企業年金制度のひとつで、事業主が従業員の受取る年金額を約束し(確定給付)、運用の責任も企業が負うというもの。
  • 企業型確定拠出年金・・・ 企業が掛け金を負担し(マッチング拠出と言って従業員が上乗せする仕組みもあります)、運用の指図とそのリスクは従業員が負うといもの。運用した金融商品の価格変動によって、元本割れなどのリスクあり。

上記の2つは企業年金で、こうした制度を採用している企業で働いていなければ加入することはできません。

 

対してiDeCo個人型確定拠出年金は2017年に加入資格の対象が拡大され、個人で老後に備えるための私的年金として注目を浴びるようになりました。

iDeCoは被保険者の区分によって毎月の掛金に上限があり、また先に述べた企業年金の有無やその種類と加入状況によって拠出できる掛け金の限度額が変わります。

また同じく資産形成の手段としてよく比較されるNISAと、そのメリット・デメリットについても気になるところです。

 

次回のブログ記事では、iDeCoについて解説したいと思います。

iDeCo 個人型確定拠出年金 - 板前FP雑記帳

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

106万円?130万円? 社会保険料の年収の壁とは?

年収の壁とは?

○○○万円の壁、という言葉はパート・アルバイトで働いている方は良く耳にするかと思います。

 

社会保険の適用拡大や政府による「年収の壁・支援強化パッケージ」などがニュースなどで話題になる中で、改めて年収の壁の意味や具体的な内容についても確認しておきたいという人も多いのではないでしょうか?

 

年収の壁とは、「年収がそれ以上増えると税金や社会保険料の負担が生じて手取りが減少する可能性がある境界線」を意味します。

この記事では社会保険料における年収の壁について述べたいと思います。

 

106万円の壁

 

まずは、106万円の壁の意味と具体的な要件を見ていきたいと思います。

106万円の壁とは、勤務先の規模や働く人の雇用条件によっては社会保険に加入し保険料負担が発生する年収のボーダーラインのことです。

具体的な条件は・・・

  • 週の所定労働時間が20時間以上である。
  • 賃金月額が88,000円以上である。
  • 2ヶ月を超えて雇用される見込みである。
  • 学生ではない。

となります。

この場合の所定労働時間とは、契約上の労働時間のことです。ですが実際に週の労働時間が20時間以上の状態が2ヶ月以上続き、さらにそれ以降もその状態が続くと判断された場合、3ヶ月目から社会保険が適用されます。

賃金月額とは基本給(時給)と諸手当のことを言います。 この諸手当は「特別な条件はなくとも毎月定期的に支給される手当」のことを指します。つまり、臨時で支給される手当や「最低賃金法」という法律で諸手当に含まないと決められている手当は、この諸手当には含まれません。

 

具体的には

  • 賞与、慶弔見舞金など臨時で支給されるもの
  • 通勤手当(交通費)、皆勤手当、深夜割増手当など

などは諸手当には含まれません

 

社会保険の適用される企業の規模についても範囲が拡大されていますので、自身の働き方や勤め先が適用条件を満たすのかよく確認しておく必要があります。

2022年10月〜 従業員50人超(51人以上)

2024年10月〜 従業員100人超(101人以上)

 

例えばアルバイトを掛け持ちして生計を立てていらっしゃる方は、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たした場合には、その両方で社会保険に加入することになるので注意が必要です。

 

↓社会保険の二重加入についてはこちら

パート・アルバイトの社会保険の二重加入 - 板前FP雑記帳

 

106万円の壁で減る手取り

 

では実際に106万円の壁を超えた場合と超えなかった場合の手取りはいくら変わるのか?ここでは細かい計算の中身は省きます。

 

105万円の場合の手取り=約103万7千円

106万円の場合の手取り=約89万6千円

 

ということで年収にしておよそ14万円ほど手取りが減ることになります。けっこう減りますね・・・。

 

ですが社会保険加入には、様々な社会保険による給付が受けられたり将来受け取れる年金額が増えたりと、メリットももちろんあります。

現在のライフスタイルだけでなく、将来のライフプランニングをしっかりと策定して判断する必要があると思います。

 

 

130万円の壁と手取り

 

続いて、130万円の壁について確認していきます。

年収が130万円を超えると勤務先の規模に関わらず社会保険料の負担が発生することになります。

 

130万円の手取り=約108万7千円

 

となります。130万円の壁を越えて減った手取りを取り戻すには150万円以上をかせぐのが良いと言われていますが、ここでも注意が必要です。

 

例えば「夫に扶養されている妻」の年収が150万円を超えると配偶者特別控除の控除額が減少し、夫の税負担が大きくなるからです。

 

なかなか一筋縄ではいきませんね(笑)。

 

社会保障とそれにまつわる問題は、社会の現実と向き合いながらいかにそれを持続可能なものにしていくかという、複雑に積み上がったジェンガのようなものだとFPの勉強をしていく過程で感じました。

 

まずは自分のライフプランニングをしっかりと作り、そして必要があれば見直す。そこから自分にあった働き方やライフスタイルが見えてくるのではないでしょうか?

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

パート・アルバイトの社会保険の二重加入

社会保険の適用条件の拡大

2020年5月、高齢化に伴う社会保障費の増大及び労働人口の減少へ対応するために「年金制度改正法」が成立し、2022年4月からすでに施行が始まっています。

在職老齢年金の支給停止額の引き上げや年金支給開始年齢の選択肢の拡大など、私たちの今の生活や将来に関係あるものばかりですが、その中でもパート・アルバイトで働く方たちにとって関心が大きいのは社会保険の適用拡大だと思います。

 

○○○万円の壁というキーワードはよく耳にすることが多いとは思いますが、それではまず社会保険の適用事務者で働くパート・アルバイトの社会保険の加入条件を確認してみましょう。

 

パート・アルバイトの方の社会保険の加入条件

 

月の労働日数および1週間の労働時間が、フルタイムの正社員の4分の3以上であること。

 

上記の条件を満たさない場合でも、以下の条件を満たすと社会保険に加入することになります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である。
  • 賃金月額が88,000円以上である。
  • 2ヶ月を超えて雇用される見込みである。
  • 学生ではない。

 

所定労働時間とは、通常は契約上の労働時間が20時間以上であるかどうかで判断されます。ただし、実際の労働時間が20時間以上である状態が2ヶ月以上続いた場合、さらにその状態がそれ以降も続くと判断された場合には、3ヶ月目から社会保険が適用されます。

 

賃金月額とは基本手当と諸手当のこと。この諸手当とは「特別な条件はなくとも毎月定期的に支給される手当」のことを指します。つまり、臨時で支給される手当や「最低賃金法」という法律で諸手当に含まないと決められている手当は、この諸手当には含まれません。

諸手当に含まれないもの

  • 賞与、慶弔見舞金など臨時で支給されるもの
  • 通勤手当(交通費)、皆勤手当、深夜割増手当など

 

また上記の条件で働くパート・アルバイトが所属する事業所(職場)についても、その範囲が拡大されています。

2022年10月〜 従業員100人超(101人以上)

2024年10月〜 従業員50人超(51人以上)

 

↓社会保険料の年収の壁についてはこちら

106万円?130万円? 社会保険料の年収の壁とは? - 板前FP雑記帳

 

 

 

複数のアルバイト先で社会保険の加入条件を満たしている方の場合

 

例えば、配偶者やご家族の扶養に入りながらパート・アルバイトをされている方は、社会保険加入のメリットと手取りの減少を秤にかけて、どちらを選ぶか検討されることと思います。

 

ですが、世の中には様々な事情でアルバイトを掛け持ちしながら生計を立てている方も多くいます。そんな方が2つのアルバイト先で社会保険の加入条件を満たした場合には、どのようになるのでしょうか?

 

自分の職場ではアルバイトを掛け持ちしている外国人のスタッフが多く、2022年の適用範囲拡大の際に同じような質問をたくさん受けました。

その頃の自分はFPとしての知識もなく、業務の合間に職場の事務所に電話で確認したところ・・・

 

「その場合、ウチともう一つのアルバイト先の両方で社会保険に加入することになります」

「・・・マジで?」

 

というやり取りになりました。

なんで?それじゃあ余計に多くの社会保険料を払うことになるじゃん、と(自分も含めて)多くの方が思うかと思います。

社会保険に加入するかどうかは、あくまでも「その職場と、その職場で働く人が、社会保険の加入条件を満たしているか」で判断されてしまうのです。

 

パート・アルバイトを掛け持ちして社会保険に二重加入する場合

 

複数の職場で社会保険に加入する場合には、年金事務所または日本年金機構の事務センターに「健康保険・厚生年金保険・被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。

 

日本年金機構事務センター↓

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/20150216.html

年金事務所↓

https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/kankatsu/index.html

 

保険証

保険証は1つです。上記の届け出により、主たる事業所を被保険者(はたらいて社会保険に加入する人)が自ら選択します。

 

保険料

  1. それぞれの職場から受ける報酬月額を合算して、標準報酬月額を決定します。
  2. 決定した標準報酬月額をもとに保険料を算出します。
  3. 算出した保険料は、それぞれの職場で受ける報酬月額をもとに按分(比例した割合で振り分ける)して徴収されます。

 

この標準報酬月額とは、働く人の給与などの報酬を一定の幅で区分した等級に分類したものです。これをもとに社会保険料が算出されます。健康保険・介護保険は1〜50等級、厚生年金は1〜32等級に分類されます。

 

メリットとデメリット

 

複数の職場で社会保険に加入せる場合、その分多くの保険料を納めることになるので将来受取る年金額を増やすことができます。

ですがその分、当然のことながら手取り額は減少します。

 

パート・アルバイトを掛け持ちして生計を立てている方にとっては、将来の年金ももちろん大事だけど、生活していくための手取りの方が重要だよという方も当然いらっしゃると思います。ダブルワーク・掛け持ちによる収入増と差し引かれる保険料をきちんと見極める必要があります。

現実的には社会保険を二重加入しなくて済むように、出勤日数や勤務時間などシフトを調整したり、短時間で働けるアルバイトを増やしたりなどの対策をされる方が多いのかなと思います。

 

冒頭に書いたように、2024年10月から社会保険の適用事業所の範囲が拡大されます。自分のアルバイト先や働き方が社会保険の加入条件を満たすのかどうか、きちんと確認しておく必要があります。

働く人のためのファイナンシャル・プランニング

はじめまして

 

都内の某海鮮居酒屋で板前してます、くるぶしと申します。

 

この度独学でFP2級資格を取得し、AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)として登録・活動を始めることになりました。

 

ファイナンシャル・プランナーてしてもブログ執筆者としても、まだキャリアが始まったばかりの未熟者です。

未熟者なりに謙虚に勉強を続けて、その成果を共有し、皆様のお役に立てればと思います。

 

そもそもなぜFPに?

きっかけは、仕事中にとある外国人アルバイトの方からのシンプルな質問でした。

「いまボクが日本の年金に入ったら、将来いくらもらえるのかな?」

日本に来てもう10年以上、結婚して、奥さまと協力しながら子どもさん2人を育てている方からの質問です。長年一緒に働いてきた大切な仲間。

 

その仲間からのシンプルな質問に、僕は答えられませんでした。ちょっと待ってねいま検索してみるから、とスマホであれこれ調べました。

労連基礎年金の満額がこれくらいだから、〇〇さんはいまから入ったとして、あっ奥さんは勤め先の社会保険に入ってるんだっけ?〇〇も今度からうちの社会保険に入るんだよね・・・

 

とあれこれ調べているうちに、自分の身の回りのこと、生活する上で欠かせない社会保障について、自分が何も知らないことに改めて気づきました。

 

日本という社会は、良くも悪くも、そうしたことを詳しくは知ろうとしなくても生きていけてしまう社会なのかもしれません。

それは社会保障という、生活する上での大切な基盤を整備してくれた人たち、それを運営してくれる人たちがいるからこそなのですが、自分は本当にそれで良いのだろうか?

 

そうやって、いまの自分のあり方に疑問を持ったことが、FPとしての原点です。

 

FP

 

若い人でも自分のような中年でも、これからのこと・自分のキャリア・将来の生活や収入について考えると、あれこれ資格について興味を持って調べてみる方は多いのではないでしょうか?

独学や通信教育で取得できそうな資格。

キャリアアップのための資格。

副業に使えそうな資格。

 

そうして調べた資格の中には、当然FPもあることと思います。

 

FPとして取り扱う範囲は広く多岐にわたります。

・ライフプランニングと資金計画

・リスク管理 

・金融資産運用

・タックスプランニング

・不動産

・相続、事業継承

 

広いのですが、それではその中にFPだけが取り扱うことのできる「独占業務」がどれだけあるのか?

 

・・・ありません。ひとつもありません。

 

資格としての魅力を考えるなら、将来の独立なんかを考えるなら、独占業務は1つでもあった方が良いと考える人は多いと思います。

 

ですが、FPには独占業務はありません。

 

でも自分はそこに、FPとしての役割というか、その魅力を感じます。

先程の年金の話もそうですが、生活の身近ではある、なんとなくは知っているけどはっきりと詳しくはわからない。

調べれば数字や用語の解説はわかるかもしれない。でもそれが今後の自分の生活にどう関わってくるのかいまいち実感がない。

どれも必要に思えるけど、どれを選べばよいのかわからない。

 

そんな身近な「もやもや」とした部分について、気楽に相談できる人がいたら良いと思いませんか?必要な数字の出し方や、それの活かし方、判断の材料を提供してくれる人って、やっぱり必要なんじゃないでしょうか?

    

必要だと、僕は思います。いてくれたら良いと思います。

 

そして自分は、そういう身近なもやもやと質問にきちんと向き合うことのできる相談者でありたい。

その思いが僕がFPとして、勉強を続けようと思う理由です。

 

冒頭に申し上げた通り、FPとしてもブログ執筆者としてもまだ始めたばかりのヨチヨチ歩き。

自己研鑽・勉強を弛まなく続けて、その成果を皆さんと共有することで、少しでもお役に立てれば思います。

 

なにとぞよろしくお願い致します。