年収の壁とは?
○○○万円の壁、という言葉はパート・アルバイトで働いている方は良く耳にするかと思います。
社会保険の適用拡大や政府による「年収の壁・支援強化パッケージ」などがニュースなどで話題になる中で、改めて年収の壁の意味や具体的な内容についても確認しておきたいという人も多いのではないでしょうか?
年収の壁とは、「年収がそれ以上増えると税金や社会保険料の負担が生じて手取りが減少する可能性がある境界線」を意味します。
この記事では社会保険料における年収の壁について述べたいと思います。
106万円の壁
まずは、106万円の壁の意味と具体的な要件を見ていきたいと思います。
106万円の壁とは、勤務先の規模や働く人の雇用条件によっては社会保険に加入し保険料負担が発生する年収のボーダーラインのことです。
具体的な条件は・・・
- 週の所定労働時間が20時間以上である。
- 賃金月額が88,000円以上である。
- 2ヶ月を超えて雇用される見込みである。
- 学生ではない。
となります。
この場合の所定労働時間とは、契約上の労働時間のことです。ですが実際に週の労働時間が20時間以上の状態が2ヶ月以上続き、さらにそれ以降もその状態が続くと判断された場合、3ヶ月目から社会保険が適用されます。
賃金月額とは基本給(時給)と諸手当のことを言います。 この諸手当は「特別な条件はなくとも毎月定期的に支給される手当」のことを指します。つまり、臨時で支給される手当や「最低賃金法」という法律で諸手当に含まないと決められている手当は、この諸手当には含まれません。
具体的には
- 賞与、慶弔見舞金など臨時で支給されるもの
- 通勤手当(交通費)、皆勤手当、深夜割増手当など
などは諸手当には含まれません。
社会保険の適用される企業の規模についても範囲が拡大されていますので、自身の働き方や勤め先が適用条件を満たすのかよく確認しておく必要があります。
2022年10月〜 従業員50人超(51人以上)
2024年10月〜 従業員100人超(101人以上)
例えばアルバイトを掛け持ちして生計を立てていらっしゃる方は、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たした場合には、その両方で社会保険に加入することになるので注意が必要です。
↓社会保険の二重加入についてはこちら
106万円の壁で減る手取り
では実際に106万円の壁を超えた場合と超えなかった場合の手取りはいくら変わるのか?ここでは細かい計算の中身は省きます。
105万円の場合の手取り=約103万7千円
106万円の場合の手取り=約89万6千円
ということで年収にしておよそ14万円ほど手取りが減ることになります。けっこう減りますね・・・。
ですが社会保険加入には、様々な社会保険による給付が受けられたり将来受け取れる年金額が増えたりと、メリットももちろんあります。
現在のライフスタイルだけでなく、将来のライフプランニングをしっかりと策定して判断する必要があると思います。
130万円の壁と手取り
続いて、130万円の壁について確認していきます。
年収が130万円を超えると勤務先の規模に関わらず社会保険料の負担が発生することになります。
130万円の手取り=約108万7千円
となります。130万円の壁を越えて減った手取りを取り戻すには150万円以上をかせぐのが良いと言われていますが、ここでも注意が必要です。
例えば「夫に扶養されている妻」の年収が150万円を超えると配偶者特別控除の控除額が減少し、夫の税負担が大きくなるからです。
なかなか一筋縄ではいきませんね(笑)。
社会保障とそれにまつわる問題は、社会の現実と向き合いながらいかにそれを持続可能なものにしていくかという、複雑に積み上がったジェンガのようなものだとFPの勉強をしていく過程で感じました。
まずは自分のライフプランニングをしっかりと作り、そして必要があれば見直す。そこから自分にあった働き方やライフスタイルが見えてくるのではないでしょうか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。