将来への不安
誰でも歳をとります。生きていれば、老後は必ずやってきます。自分は今40代半ばですが、将来のことを考えるといつも、ぼんやりとした不安がつきまといます。
なぜ不安になるのか?
その不安の原因の最たるものが、老後の生活資金の原資である公的年金への不信感ではないでしょうか?
いたずらに不安を煽るのは良くありませんが、「年金だけでは将来生活していけるのか不安だ」という人が世の中ではほとんどで、既に投資や貯蓄などの資産形成を始めていたり、関心をもってリサーチしている人は実際に多いと思います。
例えば国民年金の老齢基礎年金の満額は今年度で約6万8千円です。よほど環境的に恵まれた人でない限り、この年金額で暮らしていくのはなかなかに厳しい。
ましてや年金を満額で受け取れる人がどれだけいるのか、実際に受取る年金額はもっと少ない可能性もあります。
「やっぱり年金なんて頼りにならない」
「保険料を払うのも馬鹿馬鹿しい」
そう感じる人も多いかもしれません。
ですが、その頼りない年金だって、有ると無いとでは老後の生活が大きく変わります。
感情的になって自暴自棄になりそうなとき、学ぶことや知識を得ることが助けになる。そうであってほしいと思います。
日本の年金制度
「老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする」(国民年金法第一条より)
我が国の年金は国民皆年金といって、原則として20歳以上60歳未満のすべての国民が年金制度に加入することになっています。
そうすることで安定した保険集団を形成し、リタイヤされた方や障害を負った方、亡くなられた方の遺族などの暮らしを社会全体で支えていく、そのための国民皆年金制度であるというのが日本の年金制度の特徴のひとつ。
そしてもうひとつの特徴としてあげられるのが、日本の年金制度は2階建てであるということ。
すべての対象者が加入する国民年金が1階部分、その上に民間企業の会社員や公務員などが加入する厚生年金が、2階部分としてあります。
国民年金の被保険者は、職業などにより第一号から第三号までに分類されます。
- 第一号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など20歳以上60歳未満で第二号や第三号に該当しない方は、第一号被保険者となります。
- 第二号被保険者・・・民間企業の会社員や公務員、あるいは教職員など70歳未満で厚生年金に加入されている方は、第二号被保険者です。
- 第三号被保険者・・・主婦・主夫など第二号被保険者と生計を共にして扶養されている配偶者の方は、第三号被保険者となり保険料の負担はありません。
現在の公的年金だけでは将来の生活が苦しいという第一号被保険者や第三号被保険者の方、もう少し安定した老後を送りたいと考える第二号被保険者の方が、任意で加入し自ら年金の「2階部分・3階部分」を作るものが、昨今よく話題になる私的年金です。
また、日本の年金は自らが納めた年金保険料を積み立てて将来受取るというわけではありません。
世代間扶養・賦課方式と言って、現役世代が収めた保険料を財源として、リタイヤした世代に年金を支給します。(こうした点がよく、ポピュリストたちが世代間憎悪を煽るのに利用されます)
それでは年金を受取る65歳以上のリタイヤ世代と現役世代のバランスを見てみると・・・
(内閣府「令和5年版高齢社会白書」より)
2022年 現役世代2人→65歳以上1人
2070年 現役世代1.3人→65歳以上1人
となります。
これでは誰でも不安になります。私も不安です。
その不安を煽られて見知らぬ他人を憎まずにいるためにも、まずは自らの生活基盤をしっかりと作っていくことが必要です。そのためにファイナンシャルプランニングの知識や技術が求められているのだと自分は考えています。
私的年金
将来に備えて自ら年金の2階部分・3階部分を作るための私的年金には、いくつか種類があります。
- 企業型確定給付年金・・・ 企業年金制度のひとつで、事業主が従業員の受取る年金額を約束し(確定給付)、運用の責任も企業が負うというもの。
- 企業型確定拠出年金・・・ 企業が掛け金を負担し(マッチング拠出と言って従業員が上乗せする仕組みもあります)、運用の指図とそのリスクは従業員が負うといもの。運用した金融商品の価格変動によって、元本割れなどのリスクあり。
上記の2つは企業年金で、こうした制度を採用している企業で働いていなければ加入することはできません。
対してiDeCo個人型確定拠出年金は2017年に加入資格の対象が拡大され、個人で老後に備えるための私的年金として注目を浴びるようになりました。
iDeCoは被保険者の区分によって毎月の掛金に上限があり、また先に述べた企業年金の有無やその種類と加入状況によって拠出できる掛け金の限度額が変わります。
また同じく資産形成の手段としてよく比較されるNISAと、そのメリット・デメリットについても気になるところです。
次回のブログ記事では、iDeCoについて解説したいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。