年金は歳をとってからもらうもの?リスクに備えるための年金
年金は歳をとってから受け取るものと考えてしまいがちです。
その考え方自体は間違いではありませんが、それだけではないよというのが今回のブログです。
公的年金には、人生における様々なリスクに備えるための役割があるのです。
例えば病気や怪我などで一定の障害状態になった時にされる障害年金、そして本人が死亡したときに残された遺族に支給される遺族年金があります。
どんなに気をつけていても、不慮の事故や病といったリスクを負う可能性をゼロにすることはできません。年金にはそうした人生におけるリスクに対して社会全体の支え合いによって備える保険としての機能があるのです。
遺族年金は、残された家族の暮らしを支える大切な生活原資です。またもしもに備えて生命保険の加入を検討する際にも、遺族年金への理解があれば必要な補償額を算出するための一助となるのではないでしょうか。
遺族年金の仕組みについて解説
遺族年金も、他の年金と同様に2階建てになっています。1階部分にあたる国民年金の加入者が死亡したときに遺族に支給される遺族基礎年金、2階部分の厚生年金に加入する会社員や公務員の方が亡くなったときに遺族に支給される遺族厚生年金があります。
それぞれ見ていきますが、今回のブログではまず遺族基礎年金について解説していきます。
遺族基礎年金の支給対象
遺族基礎年金は国民年金に加入していた人が亡くなった時に、その遺族に支給される年金です。
支給対象となるのは亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」となります。
- 生計を維持・・・生計を同じくしていたことに加えて、遺族の年収が850万円未満であることという年収要件があります。
- 子・・・年金上で「子」とは、18歳になった年度の末尾(3月31日)までにある人、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある人のことをいいます。
遺族基礎年金の額
遺族基礎年金の受取額は、老齢基礎年金の満額を基本として、そこに子の数に応じた加算額を加えた額となります。
2024年度の老齢基礎年金の満額は年額816,000円です。
(1)子のある配偶者が受け取る場合
子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取る年金額は、基本年金の81万600円に、子の数による加算額を加えた額となります。
第1子〜第2子が1人につき23万4800円、第3子以降が1人につき7万8300円が加算されます。
- 子が1人の配偶者・・・年額105万800円(81万6000円+23万4800円)
- 子が2人の配偶者・・・年額128万5600円(81万6000円+23万4800円+23万4800円)
- 子が3人の配偶者・・・年額136万3900円(81万6000円+23万4800円+23万4800円+7万8300円)
すべての「子」が18歳になりその年度の末尾(3月31日)を迎えると、「子のある配偶者」は遺族基礎年金の受給権がなくなります。
(2)子が受給する場合
子が遺族基礎年金を受給する場合、基本年金の81万6000円に子の数による加算額を加えた総額を子の数によって等分に割って受給される仕組みになっています。
- 子が1人・・・年額81万6000円
- 子が2人・・・年額105万800円(81万6000円+23万4800円)、一人あたり52万5400円
- 子が3人・・・年額112万9100円(81万6000円+23万4800円+7万8300円)、一人あたり37万6366円
例えば長男が18歳になり年度末を迎えた時は、新たに少なくなった「子」の数で年金額が計算されて、残りの「子」に等分に支給されることになります。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金では、亡くなった人の範囲についても保険料の納付期間について一定の要件があります。確認していきましょう。
- 国民年金の被保険者(国民年金に加入している人)、あるいは国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人(日本在住)が死亡した場合、保険料納付済期間・免除期間が合わせて加入期間の3分の2以上であること。
- 老齢基礎年金の受給権者であった人、受給資格を満たしていた人が死亡した場合、受給資格期間が合わせ25年以上であること。
ただし、2026年3月末までは特例として「65歳未満で、死亡した前々月までの直近1年間で保険料の未納がないこと」という条件に当てはまる場合、保険料の納付に関する要件を満たすものとみなされます。
- 「老齢基礎年金の受給権者」・・・65歳以上で、受給資格期間が10年以上の人。
- 「受給資格期間」・・・年金を受け取るために必要な加入期間のこと。保険料納付済期間や保険料免除期間などを合算した期間。
老齢基礎年金を受け取ることができるのはあくまでも「子のいる配偶者」か「子」ということで、子のない配偶者など対象からこぼれ落ちてしまう人には条件によって寡婦(夫と死別した妻)年金または死亡一時金などが支給されます。
今回のブログでは主に老齢基礎年金の仕組みについて解説してきました。
次回は遺族厚生年金の仕組みについて解説する記事を書こうと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。