
職場での話。
自分は普段、都内の海鮮居酒屋(?)で板前をしています。
メインは刺身、焼き魚、天ぷら、煮つけ。魚料理全般。
一品料理で季節の野菜を使ったり、釜めしを炊いたり。中華鍋を振って炒飯を作ったりもします。居酒屋ですから何でもありです。
朝から調理場に入って魚をおろしたりランチの準備をしたり。
職場では自分がFPの資格を持って、こうしてブログを書いたりしていることをわざわざ公言はしていません。といって秘密にしているわけでもないので、ちょくちょく質問されたり相談に乗ったりはしています。
よく話題になるのはNISAやiDeCoですね。みんな関心があるようです。
「やっぱりNISAってやっておいたほうがいいの?」みたいに、ざっくり聞かれることが多いです。
「この間、郵便局でNISAを勧められたんだけど、何を選べばよいのかわからなくて、面倒だからやめちゃったよ」という板前さんもいました。
テレビでもネットでも、資産運用が話題にのぼることは多いし、何かをしたほうがいいとは思うけど・・・。
よく聞く「投資信託」がなんなのかもイマイチよくわからないし、今さら聞けない。
自分の周りではそういう人がけっこういます。
資産運用は必要か
職場での世間話でそうした「資産運用って必要なの?」とざっくりとした質問をされた場合には、「その人の考え方次第だよ」みたいな答え方でお茶を濁すことが多くありました。
今でも基本的にはそう考えています。資産運用をするべきかどうかはその人の考え方次第です。
NISAにしろiDeCoにしろ、取り扱う商品の多くは投資信託のようなリスク商品ですから、運用結果の良いこともあれば悪いこともあります。基本的には自己責任です。
ですが最近では、「資産運用は必要だと思う」と自分の考えをはっきり言うことが増えました。
これまで、のんびりではあるけど自分なりのペースでブログを書いてきました。ひとつの記事を書き上げるにも、それなりの下調べが必要になります。
また日本FP協会にAFPとして登録し活動するにはFP技能士の資格を持っているというだけでは不十分で、継続教育期間中に研修を受けて必要な単位を取得しないと資格を更新することができないのです。
なので、資格を取るためだけではなくFPとして活動するための継続的な勉強を通して、それなりに知識を深めることができたということもあるかもしれません。
でもそれ以上に、今の社会情勢によるところが大きいなというのが正直なところです。
資産運用をすれば、誰もがお金持ちになれるわけじゃない。それでも、例えば自分のような普通の、ごくごく一般的な生活者が普通に暮らしていくためにも、資産運用が必要になってきている。最近ではそう考えるようになりました。
資産運用が必要な理由① 長期間にわたる低金利政策:銀行に預けていてもお金は増えない
日本では90年代のバブル崩壊以降の長引く景気の低迷とデフレからの脱却を目的として、長きにわたって低金利政策が取られてきました。
金利を低く抑えることによって企業や個人がお金を借りやすくなり、設備投資や個人消費を促すというもの。
さらに2016年には、企業への貸し出しや投資を促すため、金融緩和政策に一環として「マイナス金利政策」が採られました(2024年3月に解除)。
このような長期間の低金利政策の結果、私たちが銀行や郵便局に預けているお金にもほとんど利息が付かないという状況が続いています。
調べてみると、1990年12月末の金利が6.08%。そんな時代もあったのかと愕然としてしまいますね・・・。
資産運用が必要な理由② インフレリスク:お金は使わなければ減らないがその価値が下がることがある
「異次元金融緩和」「アベノミクス」「黒田バズーカ」、こうしたワードが新聞などの紙面をにぎわせていたのを覚えている方も多いと思います。
黒田氏が2013年に日銀総裁に就任した当初は「2年で達成する」としていた2% の物価目標は達成されることはなく、その後2016年にさらなる景気刺激策としてマイナス金利政策が採られました。
このような金融政策を重ねてもなかなか実現されなかったデフレ脱却・物価上昇目標ですが、私たちの社会は思わぬ形でインフレ局面を迎えることになります。コロナ禍、そしてロシアによるウクライナ侵攻、円安の進行です。
コロナ禍による物流による物流の混乱、そして経済活動の再開によって、穀物などの原材料価格やエネルギー価格は2021年以降値上がり始めていました。
そんな中に起きた2022年2月のウクライナ侵攻が、さらなる原材料・エネルギー価格の値上がりに拍車をかけます。
さらに為替市場では円安が進んだことが国内のメーカーの輸入コストを押し上げることになり、食料品などの値上げの動きが広がることになりました。
このようにモノやサービスの価格が上がると、相対的にお金の価値は下がっていきます。去年までは1,000円で買えたものが今年は1,020円、来年は1,040円というように・・・。
子供の頃に親から「貯金しなさい」とよく言われました。皆さんもそうだと思います。
無駄遣いはしないように、銀行や郵便局に預けておけば安心。子供に貯金を進める親の心は、そんなところだと思います。
でも今のように物価が上がり続けている状況では、現金や預貯金の価値は何もしなくても相対的に下がってしまう。リスクを取らないでいること自体が新たなリスクを呼び込んでしまうことになりうる、そう言えるかもしれません。
普通の生活を守るためにも、インフレというリスクに対応する必要があるのです。
資産運用が必要な理由③ 私的年金の必要性:将来への漠然とした不安に対応する
生命保険文化センターの調査によると、自分の老後に不安を感じる人の割合は82.2%。
さらにその具体的な不安の内容では「公的年金では不十分」とする人が79.4%になります。
“WPP理論“という年金の受給戦略について書いたブログでも触れましたが、「老後は公的年金だけで大丈夫」と考えている人は世の中にはほとんどおらず、多くの人が何かしらの対策が必要だと考えているということ。
公的年金を補完するための「中継ぎ投手」が私的年金で、その代表格がiDeCoという、税制優遇のある確定拠出年金制度です。
現金や預貯金の価値が目減りしていくインフレ局面において、老後のための資産運用として活用・検討されているものの多くがiDeCoやNISAだと思います。
普通の暮らしを守るために必要な資産運用
「資産運用」というのは、手持ちのお金をどのように守り・増やしていくかという取り組みなので、預貯金も立派な資産運用のひとつです。
でも今の低金利では銀行や郵便局に預けておくだけではお金は増えないし、インフレが進むと持っているお金の価値が減っていってしまう。
そういったリスクに対応するために、「投資」を資産運用に取り入れる必要がある、というのがこれまで書いてきた内容です。
投資というとまず初めに思い浮かぶのが株式だと思いますが、株の売買を繰り返して儲けを出すのはなかなか難しくてリスクも大きいし、そもそものこのブログのタイトルである「普通の暮らしを守るための資産運用」という観点からも少しずれてしまいますね。
そこで、というかこれから投資を始めようと検討している人が勧められるのが、多くの場合「投資信託」だと思います。
実際、iDeCoやNISAといった税制の優遇制度も、取り扱う金融商品のメインは投資信託です。
なので、冒頭の「面倒だからやめちゃった」という人、投資を検討しているけどなかなか踏み出せずにいるという人は、この投資信託というものがなんなのかよく聞くけどはっきりとはわからない。
そういう人が多いんじゃないかと思います。
よくわからないものに対して不安に感じたり面倒だと思うのは、とても当たり前のことです。
だからこそ、まず知るところから。このブログが少しでも知るための支えになればと思います。
次回、それでは投資信託とは何なのかについて続きを書きます。