銀杏並木が色づいてくる時期になると燗酒が恋しくなります。
銀杏と書いて「イチョウ」と読むか、「ギンナン」と読むか。

イチョウの木の果肉の中にあるかたい殻に覆われた胚乳の部分が、いわゆるギンナンです。
熟したときの鮮やかな緑色が好まれて様々な料理の彩りに使われますが、それ自体が独特のねっとりとした触感と風味を持ち、個人的には日本酒のアテにぴったりだと思っています。
またギンナンはおいしいだけでなく、βカロテンやビタミンCを含み、風邪をひきやすい季節の変わり目に免疫力を高める手助けをしてくれます(食べ過ぎると中毒症状が出る場合があるので要注意ですが)。
起源である中国では古来より薬用として栽培され、日本には中世に仏教とともに伝わったとされています。
イチョウの木の歴史は古く、「生きた化石」とも呼ばれています。
米ノースダコタ州で出土した化石から、イチョウの木は6000万年もの間、現在と同じ形のまま存在していることがわかっているとのこと。
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翻って金融の歴史は、紀元前3000年前のメソポタミア文明の時代までさかのぼります。
人々の富を管理していた神殿が、貯えた穀物を農民に貸し出していたのがその起源とされています。そして農民たちは収穫期になると借りていた分に加えて、今でいう利息にあたる分をうわ乗せして穀物を納めていたそうです。
前回までのブログでは借金との向き合い方や、貯蓄と返済は両立するのかということについてお話ししました。
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お金を借りれば、ほとんどの場合は利息がついてきます。
借金とどのように向き合っていくのかは、その借金の種類や利息の割合、つまり金利によって変わってきます。
今回のブログでは「金利」について書きたいと思います。
金利とは
金利は、お金を借りるときに支払う「コスト」です。
住宅ローンや自動車ローン、そして奨学金や教育ローンなど様々なローンがありますが、それらの返済計画は当然のことながら金利の高低に影響を受けます。
ですが立場が変わって貸し出すほうから見れば、金利は貸したお金を返してもらう時に受け取る「リターン」ということになります。
資産を貸し出していれば受け取れていたはずのリターンですが、現金で保管していた場合にはそれを受け取ることはできません。
貸し出して運用するか、現金で手元に寝かせておくか。
このように違う選択をしていれば受け取れるはずだった利益のことを機会コストといいます。
また金利の高低はそれ自体が「コスト」「リターン」となるだけではなく、株式や債券、また金などの金融商品の価格に影響を与えます。
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つまり金利は、私たちがどのような資産に投資するのかを選択するときに考慮するべき重要な判断材料でもあるのです。
2024年3月に日銀は2016年に導入した「マイナス金利政策」を解除し、17年ぶりに利上げを行いました。これによって私たちの社会は「金利のある世界」へと少しずつ転換しつつあります。
また現在も進行している円安、そして新たに誕生した高市政権の経済政策などを受けて、日銀がさらなる利上げに踏み切るのか・そのタイミングはいつになるのかは、経済に関するニュースの中で常に注目される重要なトピックでもあります。
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このように私たちの生活に大きな影響を与える金利ですが、そもそも金利は何によって決まり、どのように変動していくのでしょうか。
金利水準が決まるメカニズムについて少し詳しく見ていきたいと思います。
金利には「短期金利」と「長期金利」がある
金利は、お金がやり取りされる期間によって短期と長期に分かれます。
市場におけるお金の貸し借りにおいて、期間が一年未満のものを短期金融市場、一年超のものを長期金融市場と言います。
短期金融市場には、金融機関だけが参加できる「インターバンク市場」と、一般の事業会社なども参加できる「オープン市場」があります。
ここでは銀行同士が資金繰りのためのお互いの資金の貸し借りをしたり、企業や政府が一時的な資金を調達したりしています。
長期金融市場では政府や企業が公共事業や設備投資など長期間にわたる資金調達のためにお金のやり取りがなされ、その代表的なものが「債券市場」です。
そしてそれぞれの市場での取引を通じて形成されていく金利が短期金利であり、長期金利なのです。
一般的に短期金利は普通預金や1年未満の定期預金、長期金利は1年超の定期預金や住宅ローンなどに影響を与えると考えられています。
需要と供給
まずはじめに、教科書的な金利の変動要因である需要と供給のバランスについてみていきたいと思います。
前述したとおり金利はお金を借りる際のコストであるので、お金を借りたいと思う人が増えれば金利は上昇し、逆にお金を借りたいという人があまりいない状況では金利は低下していきます。
そしてこの需要と供給のバランスが変化する主な要因が景気・物価・為替です。
景気
好景気でマイホームや自動車など個人の消費が活発になると、企業は生産活動を拡大し、設備投資などのために資金の需要が増して金利は上昇します。
不景気で消費が停滞し企業の生産活動が抑制されると、資金への需要は低調になり金利は低下します。
物価
例えば100万円で売りに出されていた自動車が、翌年には105万円に値上げされるようなケースでは、それまでと同じ金額で同じ商品を買うことができなくなります。
このようにモノやサービスの価格が上がり相対的にお金の価値が下がっていく現象をインフレといいます。
こうした物価の上昇率が金利を大きく上回る場合には、今のうちにお金を借りてでも買ってしまったほうが得だと考える人が多くなり、資金への需要が増していきます。
またお金の価値が目減りしていく状況では資産を預貯金で保有する人が少なくなり、金融機関にとっては貸し出すための原資である資金の供給が減っていくことになります。
このように物価が上昇を続ける局面においては資金に対する需要が供給を上回り、金利が上がると考えられています。
為替
そもそも「為替」とはふたつの異なる通貨を交換・売買することであり、「為替相場(レート)」はその際の交換比率のことをいいます。
一般的に、お金はより強く、より有利な方へと流れていきます。
例えばドルの金利が高く円の金利が低い場合には、より高い金利を求めて資金は円からドルへと流れていきます。
結果として円の需要は減りドルの需要が増していくことで、為替相場は「円安ドル高」へと動いていくことになります。
こうした「円安ドル高」の状況が続くと、円建ての金融商品を売却したり預貯金を解約しようとする人が増えていきます。金融機関にとっては貸し出すための円の資金の供給が減っていくことになります。
また日本は原材料の多くを輸入に頼っている国ですので、円安は仕入れコストの増加、さらには物価高の大きな要因となります。
こうして為替相場における円安は、金利の上昇につながると考えられています。
私たちの暮らしを守るもの
このように景気・物価・為替はそれぞれが互いに影響を与え合っていて、どれがひとつが変動すると、その動きは他の要因にも波及することになります。
金利の動きは預金金利はもちろんのこと、資産運用における様々な金融商品、そして何より私たちが暮らしの中で利用している「円」の価値に大きな影響を与えます。
普通に暮らしを営む庶民にとっても、その暮らしを健全に保つためには基本的な金融に関する知識を身に付けていくことが大切なのだと思います。
そしてまた、こうした金利の変動はすべてが市場任せにされているのかといえば、もちろんそうではありません。
もしそうであったなら物価や金利は極端な乱高下といった変動にさらされ、私たちの生活はとても不安定なものになってしまうかもしれません。
こうした状況から私たちの生活を守るためになされるのが、日銀の金融政策です。
次回のブログでは日銀の金融政策が金利水準に与える影響や、長期金利がどのように形成されるのかということについて書いていきたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。