板前FP雑記帳

板前として「働くFP」からの、普通の暮らしを守るためのいくつかのヒント。

銀杏の季節に金利について学ぶ② 日銀の金融政策と短期金利 長期金利は経済の体温計

たいていの調理場には「やっとこ」という鍋つかみがあります。

お店で使う雪平鍋なども持ち手がない、いわゆるやっとこ鍋がほとんどですね。
飲食店の調理コンロの火力で煮つけなどを炊いた場合、下手に持ち手がある鍋だとこの部分が焦げてしまいます。

この「やっとこ」、ギンナンを剥くにも便利なんです。
お店にもギンナン向きはありますが、初めて使った時に力加減がよくわからなくて中味ごとつぶしてしまうことが良くあったので(単に自分が不器用なだけ)、あまり使っていません。

ちなみに出刃包丁の背で叩いて割るという、実に”板前さん”的な方法もありますが、これは失敗したときに逆にとてもかっこ悪いのと(笑)指を打って痛くなるのとで、今はもうやっていません。

個人的に銀杏割りは「やっとこ」一択です。

前回からの続きになります。
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前回のブログでは、教科書的な金利変動のメカニズムである需要と供給、そして金利水準における需要と供給がどのような要因によって変動するのかということについて書きました。

今回は日銀の金融政策が金利にもたらす要因や、長期金利がどのように形成されていくのかということについて書きたいと思います。

日銀の金融政策の目的と「政策金利」

日本では、日本銀行(以下「日銀」)が中央銀行として金融政策を担い、金利水準の決定に影響を及ぼしたり通貨の発行量を調整したりしています。

何のために日銀が金融政策を実施するのかといえば、それは物価の安定のためです。

景気が過熱して物価が生活水準からかけ離れた上昇をしてしまうことも、あるいは景気が停滞を続けて物価も賃金も下がり続けていくことも、生活者にとっては大きな痛手となります。
国民経済が安定して発展していくためには、物価の安定は不可欠だからです。

そして日銀がそうした景気や物価も安定のために設定する短期金利の目安(誘導目標金利)が、ニュースなどでよく耳にする政策金利です。

無担保コール翌日物

前回のブログで、金利には短期金利と長期金利があるということに触れました。
短期金利が形成される短期金融市場では、政府や企業が一時的な資金を調達したり、銀行同士が資金繰りのためにお互いの資金を貸し借りしたりしています。
その銀行同士の取引の中で最も重要とされているのが、無担保コール翌日物という取引です。

「コール」というのは金融機関同士の短期間のお金の貸し借りの場である「コール市場」のことをいいます。
無担保コール翌日物は、「金融機関同士が」「担保なしで」「翌日に返済する」というお金のやり取りのこと。
そのまんま、名前の通りです。

日銀は金融政策において、決定した政策金利を「明日からこの金利でよろしく」と一方的に金融機関に指示を出して従わせるわけではありません。
それではどのように政策金利を実現するのかというと、この無担保コール翌日物の金利水準を目標に向けて誘導していくのです。
そしてそのために行われるのが公開市場操作、いわゆるオペレーションです。

買いオペ

日銀が、民間の金融機関が保有する国債などを買い取ります。
→すると金融機関の保有する国債は減りますが、代金が支払われますので資金の保有量は増加します。
→保有する資金が増えれば、当然他の金融機関からお金を借りる必要はなくなってくるので、需要が減った「無担保コール翌日物」の金利は下がっていきます。

こうした金融政策を「買いオペ」といいます。
金利が低くなればお金も借りやすくなりますし、企業に投資を促したり消費を刺激したりという効果が見込まれるため、不景気での物価の下落を抑える目的で実施されます。

売りオペ

反対に、日銀が保有している国債などを売却し、市場から資金を吸収する金融政策を「売りオペ」といいます。
→市場に出回る資金の量が減っていくので、金融機関にとっても資金繰りのために借り入れに対する需要が増えていきます。
→お金を借りたいという金融機関が増えていけば、「無担保コール翌日物」の金利も上がっていきます。

金利が上がると当然お金も借りにくくなり、その結果として企業も投資を控えたり消費も停滞していきます。「売りオペ」には過熱した景気による物価の上昇を抑制する効果があると考えられています。

短期金利は日銀の金融政策の影響を受ける

金利は、資金を借りる人にとっては「コスト」であり、貸す側からすれば「リターン」ということになります。

「無担保コール翌日物」の金利は、金融機関にとっては資金調達のためのコストであり、リターンということになります。
わかりやすくざっくりといってしまうと、このコストに銀行自身の収益やその他の経費を上乗せしたものが貸出金利となり、リターンから銀行自身の収益と経費を差し引いたものが預金金利となります。

このようにして短期金利は、足元の金融政策の影響を受けるのです。

長期金利は経済の体温計

それでは長期金利はどのように形成されていくのでしょうか?

結論から言うと、長期金利は短期金利ほど金融政策の影響をダイレクトには受けません。

長期金利が形作られていく過程のひとつに、短期金利がどのようになっていくかという将来への予想の積み重ねがあります。
短期金利は1年未満のお金のやり取りにおける金利ですので、現在から1年後、1年後から2年後、2年後から3年後というように予想を積み重ねていくのです。
そして短期金利は日銀の金融政策に左右されますので、短期金利の将来を予測するということは日銀の金融政策の将来を予測するということでもあります。

ですがその期間が長くなればなるほど、そういった方向性を正確に予想することは難しくなっていきます。
そしてまた期間が長くなるほど、現在の金融政策が将来に与える影響も薄れていきます。

つまり長期金利は足元の金融政策だけではなく、将来の景気の先行きや、物価がどのように変動していくのかといった予想、そしてそういった様々な要因が加味されたうえでの長期間の資金に対する需要と供給のバランスによって変動し、形作られていくと考えられています。

こうした特徴から、「長期金利は経済の体温計」とも言われています。
景気の先行きに対する見通しが良いものであれば高くなり、悪くなれば低くなるという特徴があります。
その中でも10年物国債の利回りが、長期金利の代表的な指標とされています。

普通の生活者こそ金利について学ぶ必要がある

ここまで書いてきたように、金利は私たちが銀行に預ける預金金利やマイホームのための住宅ローンといった家計管理から、世界経済の動向について理解するためにもとても重要なファクターなのです。

また金利の変動は、株式や債券、あるいは金などの金融商品の価格にも大きな影響を与えます。
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以前のブログでも、普通の生活を守るための資産運用について書きましたが、私たちがどのような金融資産に投資をするのかを判断する際にも、金利の動きは考慮すべき重要事項でもあります。
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今回のブログで、私たちのような普通の生活者こそ、金利についての正しい理解が必要だと思っていただければ幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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